着色剤:染料と顔料の違い

着色剤とは、物質に色をつけるための物質です。染料と顔料が着色剤の主な形態です。両者の主な違いは、染料は可溶性、顔料は不溶性で、媒体またはバインダーに懸濁していることです。これは、染料と顔料の粒子径の違いによるもので、両者の挙動に影響を与えます。

粒子径 

染料の粒子は、顔料の粒子に比べて非常に小さく、針の頭(染料)とサッカーボール(顔料)の違いを想像してください。染料は溶けやすく、顔料は溶けにくいので、染料の粒子は水に溶け、顔料の粒子はバインダーで浮遊させる必要があります。水中の塩(染料)と岩(顔料)の比較を想像してください。 塩が水に溶けて溶液になるのに対して、石は底に沈んで懸濁液になります。

 

もう一つの違いは結合特性です。染料は分子レベルで基材に化学的に付着し素材の一部となるのに対し、顔料は基材に塗られ顔料を取り囲み所定の位置に保つ糊のような役割を果たすバインダーやキャリアが必要なのです。つまり、染料は素材の一部となり、顔料はその上に重なるように置かれるのです。これらのルールは一般的なものなので、素材や染料によっては、染料が結合するのを助ける媒染剤が必要な場合もあります。

耐光性

挙動上の違いのひとつに、耐光性(光に当てたときに色あせる度合い)があります。顔料はこの退色プロセスに抵抗する能力を持っていますが、染料は太陽からの紫外線による退色や脱色に弱いです。

 

日光(紫外線)は染料分子の電子的結合を破壊し、その色を破壊することができるため、染料は色あせます。デニムのジーンズが色あせたり、絵がかかっていた壁の壁紙の跡を想像してみてください。 このような理由から意図的に染料を選び、自然な色落ちを楽しむ人もいれば、より永続的な色を求める人もいます。

 

ほとんどの顔料は耐光性がありますが、ローズマダーなど、時間が経つと退色する「退色性顔料」と呼ばれる顔料もいくつか存在します。この場合も、着色剤の使用目的によっては、自然に退色するものの方がいいかもしれません。

ブルーウールスケール

ブルーウールスケールは、これらの耐光性のレベルを測定するために作られました。着色剤を塗布したストリップを、実験室にて長年にわたる太陽光を模倣するように設計された紫外線条件下に置きます。 ストリップの一部は光から保護され、一定時間露光したあとストリップを取り出し、色あせはブルーウールスケールの1-8で測定され、8が最も色あせしにくいということになります。この試験は繊維産業のために考案されたものですが、現在では顔料の試験にも応用されています。

The Blue Wool Scale